企業の経済活動を測定し、その結果を財務諸表に取りまとめて報告するという一連の会計行為の背景には、それを可能にするための基礎構造が存在しています。
基礎構造には技術的なものと理論的なものがありますが、ここでは理論的なものについてまとめています。
ちなみに技術的なものというのは複式簿記の技術になります。
会計公準
会計の理論的な基礎構造の命題は会計公準(Accounting Postulates)と呼ばれます。
会計理論や実務の基礎を成す最も基本的な概念や前提条件です。
今日最も一般的に考えられている会計公準の命題は以下の3つであり、それぞれ形式的な意味と実質的な意味を持ちます。
会計公準 | 形式的意味 | 実質的意味 |
1企業実態の公準 | 会計の計算は企業実態を対象として行う | 企業は出資者から独立した別個の存在である |
2継続企業の公準 | 会計の計算は期間を区切って行う | 企業は倒産しない |
3貨幣的測定の公準 | 会計の計算は貨幣額を用いて行う | 貨幣価値は変化しない |
1 企業実態の公準
会計の対象となる企業実態は法的に独立した個々の企業になります。登記されている「〇〇株式会社」というものがそれにあたります。
しかしそれだけではなく、企業が持ついくつかのぶもんも独立した会計単位となります。また、親会社、子会社などのグループ全体で作成される連結財務諸表では、そのグループ1つが独立した会計実体となります。
2 継続企業の公準
現代の企業は永遠に存続することを前提としています。そのため、1年という期間で会計期間を区切り、その1年の経営成績と期末の財政状態を計算します。
仮に上記の前提がなければ減価償却という概念は存在しえません。
現代の会計において事業で150万円の車両を購入し、5年で償却をする場合
期末に車両の減価償却費30万円が減価償却費として損益計算書に計上されるとともに、残りの120万円が資産として貸借対照表に計上されます。
この様な会計処理が正当化されるのは、企業の継続性が仮定されているからです。もし、企業が解散を前提とするのならば、上記の車両は決算日現在の、中古車市場での売却時価によって評価されるのが合理的となります。
3 貨幣的測定の公準
会計情報を比較するには共通の尺度で表現しておく必要があります。その共通の尺度が貨幣額です。
貨幣価値の変動が顕著な場合は物価水準で調整したり、個々の貨幣の決算日現在の市場価格で評価しなおす必要性があります。
このような修正を行う会計を物価変動会計といい、財務会計の特殊な研究領域の1つとなっています。
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